「日本の研究者に米軍資金が」
「日本の研究者に米軍資金が」
危惧していたことが現実であったことにショックを受けている。
米軍の研究資金が日本の科学者に幅広く渡り、活用されていたことだ。
8日付けの毎日新聞は、米空軍が2010年度以降の6年間に、延べ128人に総額8億超えの研究資金などを提供していたことを報じた。
米海軍の海事研究局の出先機関を通じて申請することによって、一人約150万~4500万円を受け取っていたことも明らかにしている。
さらに翌9日付けの朝日新聞は、2008年から16年までの9年間で少なくとも135件、総額8億8千万円の米軍からの研究助成が提供されていることがわかったと報じた。
米軍の助成金は、米国の陸海空軍がそれぞれ提供する形で、20年ほど前から始まっていたとも伝えている。
公開されていなかったから、一般には知られていなかった。
資金提供対象は基礎研究に限り、研究テーマおよび軍に協力的な研究者に声をかける方式で、日本政府は関与せず、米軍が直接資金を提供してきたと伝える。
そのため米軍側は普段から、軍に協力的な人脈を探し、そのネットワークづくりのために、めぼしい研究者に声を掛けていたようだ。
資金提供する米軍側の目的は、基礎研究推進である。
基礎研究を推進する目的について、米国防総省側は、「成果を軍備増強に活用することで、軍事的優位を保つこと」(国防科学委員会)と、軍事目的であることを明らかにしている。
その上で、海外の民生分野の研究成果を低コストで集めて軍備に応用、民生技術が他国やテロ集団に流れることを防ぐことも目的だとしている。軍事目的であり、かつ、その基礎研究を他国に先駆けて開発することとしている。
積極的に資金提供をうけて研究を進めていた科学者たちの言い訳は、「軍事研究には当たらないと判断した」、「研究自体は平和目的。資金源が米軍だから問題だとは思わない」(8日付け、毎日新聞)など、民生転用可能な基礎研究だからと言い訳を正当化して、自ら軍事研究の道に進んでいた実態が明らかになった。
その背景には、研究資金不足が上げられるという。
資金不足を理由に軍事分野の研究に手を染めている研究者たちに、一部の科学者たちは、「助成金を決めるのは国防総省。特定の目的を持って支出しているのは明らかだ」(西崎文子・東大教授)、「基礎研究であっても軍事力の強化という目的によって方向づけられており、軍事研究にほかならない」(小森田秋夫・神奈川大教授)と危惧を表明、正当な声を挙げている。
研究費の資金源、資金提供者が問われているのだ。
米軍提供の資金に手を出した科学者たちは、研究成果が民生利用であることを自己評価して、あるいは自己弁明して、日本学術会議の軍事研究を禁じる声明、決議を「否定」してしまっていることには気付いていないようだ。
一方、防衛省も、「安全保障技術研究推進制度」を設け、大学の研究者に資金を提供している。
日本政府は、意図的に防衛省から資金を出している。大学や研究機関の資金不足に付け込み、防衛省からの資金提供予算を増額している。本来なら文科省関連からの資金提供、資金増額を検討、実施すべきだろう。
こうした軍関係組織からの資金を受け取り、研究を続けることに、科学者・研究機関の間では抵抗感が薄くなっているとしたら、非常に危険な現実になっていると言わざるを得ない。
学術会議は4月の総会で、これまで議論してきた安全保障と科学研究の関係について結論を出す予定である。
軍事と学術の問題は、産官学体制社会の中では常に問われ、警戒されなければならない。
学術会議総会の結論次第では、日本は産軍体制から進んで、戦前と同じ体制となってしまう。
戦前、科学者が軍部に隷属した反省から、「軍事研究否定」の立場を貫いてきた学術会議の良心を貫いてほしい。汚ない資金提供を受けたことで、使用されている詭弁言語に惑わされてはいけない。
真に平和を願う者ならば、いかなる部門であれ、戦争につながる軍装備が目的の科学研究などに協力できないはずだ。
たとえそれで、研究ができなくなり、科学技術の発展が遅れようと、そのような研究成果など必要ない。
戦争技術につながる一切の研究開発を否定する。
2017年2月9日 記
危惧していたことが現実であったことにショックを受けている。
米軍の研究資金が日本の科学者に幅広く渡り、活用されていたことだ。
8日付けの毎日新聞は、米空軍が2010年度以降の6年間に、延べ128人に総額8億超えの研究資金などを提供していたことを報じた。
米海軍の海事研究局の出先機関を通じて申請することによって、一人約150万~4500万円を受け取っていたことも明らかにしている。
さらに翌9日付けの朝日新聞は、2008年から16年までの9年間で少なくとも135件、総額8億8千万円の米軍からの研究助成が提供されていることがわかったと報じた。
米軍の助成金は、米国の陸海空軍がそれぞれ提供する形で、20年ほど前から始まっていたとも伝えている。
公開されていなかったから、一般には知られていなかった。
資金提供対象は基礎研究に限り、研究テーマおよび軍に協力的な研究者に声をかける方式で、日本政府は関与せず、米軍が直接資金を提供してきたと伝える。
そのため米軍側は普段から、軍に協力的な人脈を探し、そのネットワークづくりのために、めぼしい研究者に声を掛けていたようだ。
資金提供する米軍側の目的は、基礎研究推進である。
基礎研究を推進する目的について、米国防総省側は、「成果を軍備増強に活用することで、軍事的優位を保つこと」(国防科学委員会)と、軍事目的であることを明らかにしている。
その上で、海外の民生分野の研究成果を低コストで集めて軍備に応用、民生技術が他国やテロ集団に流れることを防ぐことも目的だとしている。軍事目的であり、かつ、その基礎研究を他国に先駆けて開発することとしている。
積極的に資金提供をうけて研究を進めていた科学者たちの言い訳は、「軍事研究には当たらないと判断した」、「研究自体は平和目的。資金源が米軍だから問題だとは思わない」(8日付け、毎日新聞)など、民生転用可能な基礎研究だからと言い訳を正当化して、自ら軍事研究の道に進んでいた実態が明らかになった。
その背景には、研究資金不足が上げられるという。
資金不足を理由に軍事分野の研究に手を染めている研究者たちに、一部の科学者たちは、「助成金を決めるのは国防総省。特定の目的を持って支出しているのは明らかだ」(西崎文子・東大教授)、「基礎研究であっても軍事力の強化という目的によって方向づけられており、軍事研究にほかならない」(小森田秋夫・神奈川大教授)と危惧を表明、正当な声を挙げている。
研究費の資金源、資金提供者が問われているのだ。
米軍提供の資金に手を出した科学者たちは、研究成果が民生利用であることを自己評価して、あるいは自己弁明して、日本学術会議の軍事研究を禁じる声明、決議を「否定」してしまっていることには気付いていないようだ。
一方、防衛省も、「安全保障技術研究推進制度」を設け、大学の研究者に資金を提供している。
日本政府は、意図的に防衛省から資金を出している。大学や研究機関の資金不足に付け込み、防衛省からの資金提供予算を増額している。本来なら文科省関連からの資金提供、資金増額を検討、実施すべきだろう。
こうした軍関係組織からの資金を受け取り、研究を続けることに、科学者・研究機関の間では抵抗感が薄くなっているとしたら、非常に危険な現実になっていると言わざるを得ない。
学術会議は4月の総会で、これまで議論してきた安全保障と科学研究の関係について結論を出す予定である。
軍事と学術の問題は、産官学体制社会の中では常に問われ、警戒されなければならない。
学術会議総会の結論次第では、日本は産軍体制から進んで、戦前と同じ体制となってしまう。
戦前、科学者が軍部に隷属した反省から、「軍事研究否定」の立場を貫いてきた学術会議の良心を貫いてほしい。汚ない資金提供を受けたことで、使用されている詭弁言語に惑わされてはいけない。
真に平和を願う者ならば、いかなる部門であれ、戦争につながる軍装備が目的の科学研究などに協力できないはずだ。
たとえそれで、研究ができなくなり、科学技術の発展が遅れようと、そのような研究成果など必要ない。
戦争技術につながる一切の研究開発を否定する。
2017年2月9日 記