fc2ブログ

「朝鮮問題jへのレッスン第2部:朝鮮戦争を考える」21.朝鮮戦争の歴史的意義

21.朝鮮戦争の歴史的意義

 宋慶麗(孫文の未亡人)は、ウィーンの世界平和評議会総会(54年)で、米国が朝鮮半島に軍事介入した理由を、「蒋介石を権力の座に復帰させるため、中華人民共和国の共産主義政権の破壊を企てるスプリングボードとして朝鮮を利用した」と、米国を非難した。

 さらに米軍が朝鮮や中国東北部で、細菌戦を行ったことも暴露している。

 世界平和評議会は、50年11月に第2回平和擁護世界大会(ワルシャワ)のとき、その常設機関として設立された。

 評議会はその後も、平和アピールやコメントを数多く出しており、米国の帝国主義的言動を批判している。

 朝鮮戦争での米国の真の野望は、朝鮮半島と中国大陸の共産主義政権を戦火のなかで消滅させ、広大なアジア地域の安定的な米製品の消費地にすることであった。

 その意味から、共和国と中国の朝鮮戦争の最も大きな歴史的意義こそ、米帝国主義の侵略的な野望を打ち砕いたことであり、米帝の意図に勝利したことであるといえよう。
 
 ギャバァン・マコーマックが「朝鮮戦争は本質上内戦だったばかりではなく、革命的内戦だった」(「侵略の舞台裏」の結論部)としているのも、その一面を言い当てている。

 戦争が高度に政治的な性格をもつ現象であることを、ドイツの将軍クラウゼィッツ(1780~1831)が、「戦争はたんなる政治関係の継続というだけでなく、他の手段による政治の実現である」と規定して以来、それが通説となっている。

 レーニンの場合は、戦争一般を論じるのではなく、戦争を個別的、歴史的に研究することを強調した。抑圧され、従属させられ、民族自主権を剥奪された国家が、抑圧者、略奪者、侵略者の国家にたいする戦争を、侵略や略奪という性格を行ってはいないという意味で解放、防衛の戦争であり、「正義」の戦争だと言えるとしている。

 逆に侵略戦争や民族抑圧、植民地化を志向する戦争を、「不正義」の戦争とした。

 第2次世界大戦以降は、米国を中心とした国際的な帝国主義体制時代となっている。

 資本の国際化(多国籍企業の活動)、核戦争の危機を拡大させた軍拡現象などによって、政治・経済・軍事の対米従属化がすすんでいった。

 日本帝国主義から解放された朝鮮半島は、米ソ対立のなかで、米帝国主義は朝鮮への新植民地化、民族自主権への抑圧、軍事基地化政策をすすめていた。

 その米帝国主義の政策を真っ向から批判し、対抗していったのが金日成である。

 反共主義米国は、ソ連とともに共産主義勢力を消滅させるとの目的で、朝鮮半島の南北分断、北の政権の孤立化政策を推進してきた。

 それは即ち、民族分断、南北2政権化、北の孤立化政策となり、朝鮮人の民族自立化、民族自主権を奪っていった。

 朝鮮人民の反米闘争は結局、米国が奪い取ろうとする民族自主権の確立をめざすものであった。46年以降の南朝鮮での反米闘争もまた、同じことであったといえよう。

 その意味で、共和国が米国と戦った朝鮮戦争は、レーニンが言う「防衛戦争」であり、「正義」の戦争であったことになる。

 朝鮮労働党は、朝鮮戦争勝利の歴史的意義を、以下の3点にまとめている。

 第1に、社会主義朝鮮を守り抜き、抗日闘争以来の革命の獲得物を固守したこと。

 金日成はつぎのように言っている。

 「朝鮮人民と人民軍は犠牲的な戦いを通じて、現代帝国主義の元凶、アメリカ帝国主義武力侵略軍をかしらとする帝国主義連合勢力の侵略から祖国と北半分に樹立された人民民主主義制度を守り、民主革命の成果と民主基地を守り抜きました」(「金日成著作集」第7巻)

 米帝国主義勢力の侵略軍から祖国を守り抜いたことは、取りも直さず朝鮮解放の尊厳と栄誉を固守し、自主的な人民としての革命的な気概と英雄的な精神を世界に誇示し、反帝を志向する世界の人民に勇気を与えた、ということになる。

 第2に、最も困難な戦争時期にも、全人民が金日成を信じ、金日成のまわりにいっそう固く団結したことである。

 そのことによって、主体的革命力量が強化され、創造的な戦闘力を発揮してきたことで
ある。

 「わが党は厳しい戦争の試練を通じて点検され…幹部と党員が鍛えられ、労働者、農民およびインテリと全人民が鍛えられ、党と人民の団結がいっそう強まりました。わが人民軍は強力な革命的軍隊に成長しました」(「金日成著作集」第4巻)

 朝鮮労働党と幹部、人民たちは、朝鮮戦争の戦火のなかで鍛えられたのだ。

 そのことは今日、全人民が反米、抗米の精神で、一心団結を誇っていることにつながる。

 第3に、国際的な意義である。

 第2次世界大戦後、唯一、絶対的な帝国主義国家となった米国を、しかも「国連」機構を自由に操ってまで、朝鮮侵略の意図を実現した米国を、その米国の「強大さ」神話を粉砕したことは、民族自主権と社会主義を追及する国と人々に大きな勇気を与えた。

 そのことによって、社会主義諸国の安全と、世界の平和を守るうえで大きな貢献を果たしたことは間違いない。

 金日成はつぎのように言っている。

 「朝鮮戦争は、植民地主義に反対し、祖国の自由と独立のために決起した人民はいかなる力によっても征服できず、帝国主義者が植民地・従属人民にたいする搾取と抑圧をほしいままにした時代はすでに終わったことを全世界の人民にはっきりと示しました」(「金日成著作集」第10巻)

 また朝鮮戦争では、米軍の圧倒的な兵器機種の優位さと、彼らの制空権と制海権を握っていたなかでの、朝中側の勝利であった点で、「兵器万能主義」観を打ち破ったことになる。これは戦争勝利の第一の要因で根本的な要因である、戦闘員(兵士と後方の人民)たちの思想意識の堅実さと強固さ、団結力にあったことを実証していた。

 思想の団結こそが、自由と独立をめざす闘争において、また反帝反米闘争において、有力な武器であることを世界の革命史に記録したことは、間違いなく朝鮮の勝利であった。

 同時に、自他ともに認める政治、経済、軍事大国の米国が、朝鮮やベトナムでの革命闘争に敗北したことは、歴史の必然性であったとも言えるのである。

(第2部終了)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

takasi1936

Author:takasi1936
愛媛現代朝鮮問題研究所のブログです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR