「米国の危険な対北朝鮮政策の変化」
「米国の危険な対北朝鮮政策の変化」
1.「2頭のドラゴン」軍事演習
国連安全保障理事会(安保理)は、3月27日、非公開の緊急会合を開き、朝鮮民主主義人民共和国(共和国)が中距離弾道ミサイルを発射したことは、安保理決議に違反しているとして、非難する報道向け談話を発表した。
緊急会合は米国と非常任理事国の韓国(南朝鮮)の要請で開催した。
報道向け談話は公式文書としては扱わず「安保理メンバーは適切な対応を取ることで合意」したもの。
日米韓は明確な決議違反としているが、中国とロシアは制裁反対の立場である。
朝鮮半島をはさんで、米中は対立している。
その同じ27日、米韓合同軍事演習「2頭のドラゴン」を、韓国南東部の浦項で実施していた。
同演習は、毎年実施している「フォール・イーグル」に、昨年から特殊部隊による上陸作戦の実戦型演習として追加したものである。
この特殊訓練の内容は、軍部隊が共和国内に侵入して、その内部に反政府武装勢力を組織することを目的としている。
今年は約1万3千人が参加しており、これは93年まで実施してきた米韓合同軍事演習「チーム・スピリット」以来の大規模な上陸演習であったという。
米韓は、共和国への攻撃(合同軍事演習)に、水陸双方からの攻撃を準備していたことになる。
しかもこの特殊作戦は、通常の実戦型演習をはるかに超えていて、侵攻内部に組織準備していた反政府武装勢力を連動し、一気に政権中枢部を攻撃し壊滅させる作戦となっており、従来に比べて危険度が増していることが分かる。
内部の反政府勢力と呼応し、侵略軍を出動させるといったパターンは、直近でもリビア、シリア、ウクライナなどで用いている米国の、帝国主義的手法である。
「2頭のドラゴン」演習は、4月7日に終了したが、その間、共和国はミサイルを発射して、一連の米韓合同軍事演習に対する防御演習を実施した。
潘基文(バン・ギムン)国連事務総長は、度を越している米韓合同軍事演習には何も語らず、共和国の防御型演習のミサイル発射にだけ懸念を表現した。
国連事務総長という位置は、国際紛争、国際的問題に公正なジャッジを下す役割があった。
しかも彼は朝鮮人である。
いま朝鮮半島内で繰り広げられている「準戦時」状態へのジャッジを共和国の防御型軍事訓練に対して、一方的で偏った警告を発した。
その一方で、共和国侵攻を目的とした米韓合同軍事演習には黙して、容認している。
2.スパイ浸透作戦
最近、共和国側から「反共和国敵対行為」(スパイ)をはたらいた者たちの摘発、追放発表が相次いでいる。
13年10月に逮捕された金楨郁氏(韓国宣教師)、13年12月に平壌で病気入院中に記者会見した裵峻皓氏(在米韓国人)、14年3月に追放されたジョン・アレクサンダー・ショート氏(オーストラリア、宣教師)などである。
彼らは、南朝鮮の国情院、もしくは米CIAから資金と情報提供を受け、観光客を装って平壌に入り、キリスト教関連のパンフレットを、人の集まる場所に置く行為をしていた。
金楨郁氏の場合は、はっきりと米軍の特殊部隊の作戦と連動したものとなっていて、中国東北地方で知り合った女性を手懐け、地下教会をつくり、キリスト教関連本を配布し、民主主義的内容の文化説話などを通じて仲間を増やす準備をしていたという。
彼らの究極的な目的は、反政府組織の核となる人物の育成にあった。
米CIAやキリスト教関係者は、90年代中頃から、中国東北地方一帯で、地下教会活動を盛んに行っていた。(地下教会は中国政府も取り締まった)
そこでの活動から、ある者たちには「脱北」を、別の者たちには資金、パンフ、ポルノまがいの印刷物を渡し、共和国内の「活動」を援助していた。
そこからの成果が予期したほどのものではなく、警戒が厳しくなったためもあって、方向転換をした。
観光客に仕立てたスパイたちを、平壌に送り込む作戦に切り替えたのだ。
その時期が、米韓合同軍事演習「2頭のドラゴン」が実施される時と符合している。
3.人権圧力外交
米国は最近、対共和国への圧力道具の一つに、人権政策を多用している。
3月にジュネーブで開催された国連人権理事会第25回会議で、米国と日本が主導してきた朝鮮人権調査委員会の「朝鮮人権報告書」を発表した。
米国は同報告書に、政治犯収容、脱北者とともに、拉致被害者問題を取り上げさせた。
米国にとっての拉致問題は、最近になって、解決すべきテーマではなく、共和国の国際的なイメージを傷つけるために必要とする重要な政治テーマとなった。
4月の日朝局長級協議のテーマに、拉致問題解決が取り上げられていたことでさえ、微妙な時期での拉致問題解決先行は、バランスを崩す危険性があると、米国は安倍政権にクレームをつけている。
被害者家族会の役員たちが、ジュネーブやニューヨークに行って、解決のために「北朝鮮への圧力を」と国際会議の場で発言しているけれど、それは結局、米国の対共和国圧力政策(人権)の後押しをしていることと同じになっている。
彼らに早くそのことに気付いてもらいたいと、歯がゆい思いでいる。
米国は「北朝鮮の人権を改善する」ことだと、聞こえのよい言葉を使ってはいるけれど、その根本は、米国式の政治価値観、理念、文化を注入することであって、それは政権転覆と同義語である。
米国が反共和国活動を行っている団体や個人に、毎年数千万ドルを予算し支出しているのは、共和国での反政府デモ、軍事クーデター、親米政権の樹立を計画しているからである。
このように合法的な主権国家を転覆させることをプログラム化している米政権こそ、世界で最も人権を無視している権力機関だと言えるだろう。
その人権無感覚な米国が、共和国の社会主義体制を崩壊させるための様々な作戦を、朝鮮半島内外で日常的に実施していることを告発する。
オバマ米政権の対朝鮮戦略は、すでに危険な一線を超えていることを知るべきだ。
2014年4月17日 記
1.「2頭のドラゴン」軍事演習
国連安全保障理事会(安保理)は、3月27日、非公開の緊急会合を開き、朝鮮民主主義人民共和国(共和国)が中距離弾道ミサイルを発射したことは、安保理決議に違反しているとして、非難する報道向け談話を発表した。
緊急会合は米国と非常任理事国の韓国(南朝鮮)の要請で開催した。
報道向け談話は公式文書としては扱わず「安保理メンバーは適切な対応を取ることで合意」したもの。
日米韓は明確な決議違反としているが、中国とロシアは制裁反対の立場である。
朝鮮半島をはさんで、米中は対立している。
その同じ27日、米韓合同軍事演習「2頭のドラゴン」を、韓国南東部の浦項で実施していた。
同演習は、毎年実施している「フォール・イーグル」に、昨年から特殊部隊による上陸作戦の実戦型演習として追加したものである。
この特殊訓練の内容は、軍部隊が共和国内に侵入して、その内部に反政府武装勢力を組織することを目的としている。
今年は約1万3千人が参加しており、これは93年まで実施してきた米韓合同軍事演習「チーム・スピリット」以来の大規模な上陸演習であったという。
米韓は、共和国への攻撃(合同軍事演習)に、水陸双方からの攻撃を準備していたことになる。
しかもこの特殊作戦は、通常の実戦型演習をはるかに超えていて、侵攻内部に組織準備していた反政府武装勢力を連動し、一気に政権中枢部を攻撃し壊滅させる作戦となっており、従来に比べて危険度が増していることが分かる。
内部の反政府勢力と呼応し、侵略軍を出動させるといったパターンは、直近でもリビア、シリア、ウクライナなどで用いている米国の、帝国主義的手法である。
「2頭のドラゴン」演習は、4月7日に終了したが、その間、共和国はミサイルを発射して、一連の米韓合同軍事演習に対する防御演習を実施した。
潘基文(バン・ギムン)国連事務総長は、度を越している米韓合同軍事演習には何も語らず、共和国の防御型演習のミサイル発射にだけ懸念を表現した。
国連事務総長という位置は、国際紛争、国際的問題に公正なジャッジを下す役割があった。
しかも彼は朝鮮人である。
いま朝鮮半島内で繰り広げられている「準戦時」状態へのジャッジを共和国の防御型軍事訓練に対して、一方的で偏った警告を発した。
その一方で、共和国侵攻を目的とした米韓合同軍事演習には黙して、容認している。
2.スパイ浸透作戦
最近、共和国側から「反共和国敵対行為」(スパイ)をはたらいた者たちの摘発、追放発表が相次いでいる。
13年10月に逮捕された金楨郁氏(韓国宣教師)、13年12月に平壌で病気入院中に記者会見した裵峻皓氏(在米韓国人)、14年3月に追放されたジョン・アレクサンダー・ショート氏(オーストラリア、宣教師)などである。
彼らは、南朝鮮の国情院、もしくは米CIAから資金と情報提供を受け、観光客を装って平壌に入り、キリスト教関連のパンフレットを、人の集まる場所に置く行為をしていた。
金楨郁氏の場合は、はっきりと米軍の特殊部隊の作戦と連動したものとなっていて、中国東北地方で知り合った女性を手懐け、地下教会をつくり、キリスト教関連本を配布し、民主主義的内容の文化説話などを通じて仲間を増やす準備をしていたという。
彼らの究極的な目的は、反政府組織の核となる人物の育成にあった。
米CIAやキリスト教関係者は、90年代中頃から、中国東北地方一帯で、地下教会活動を盛んに行っていた。(地下教会は中国政府も取り締まった)
そこでの活動から、ある者たちには「脱北」を、別の者たちには資金、パンフ、ポルノまがいの印刷物を渡し、共和国内の「活動」を援助していた。
そこからの成果が予期したほどのものではなく、警戒が厳しくなったためもあって、方向転換をした。
観光客に仕立てたスパイたちを、平壌に送り込む作戦に切り替えたのだ。
その時期が、米韓合同軍事演習「2頭のドラゴン」が実施される時と符合している。
3.人権圧力外交
米国は最近、対共和国への圧力道具の一つに、人権政策を多用している。
3月にジュネーブで開催された国連人権理事会第25回会議で、米国と日本が主導してきた朝鮮人権調査委員会の「朝鮮人権報告書」を発表した。
米国は同報告書に、政治犯収容、脱北者とともに、拉致被害者問題を取り上げさせた。
米国にとっての拉致問題は、最近になって、解決すべきテーマではなく、共和国の国際的なイメージを傷つけるために必要とする重要な政治テーマとなった。
4月の日朝局長級協議のテーマに、拉致問題解決が取り上げられていたことでさえ、微妙な時期での拉致問題解決先行は、バランスを崩す危険性があると、米国は安倍政権にクレームをつけている。
被害者家族会の役員たちが、ジュネーブやニューヨークに行って、解決のために「北朝鮮への圧力を」と国際会議の場で発言しているけれど、それは結局、米国の対共和国圧力政策(人権)の後押しをしていることと同じになっている。
彼らに早くそのことに気付いてもらいたいと、歯がゆい思いでいる。
米国は「北朝鮮の人権を改善する」ことだと、聞こえのよい言葉を使ってはいるけれど、その根本は、米国式の政治価値観、理念、文化を注入することであって、それは政権転覆と同義語である。
米国が反共和国活動を行っている団体や個人に、毎年数千万ドルを予算し支出しているのは、共和国での反政府デモ、軍事クーデター、親米政権の樹立を計画しているからである。
このように合法的な主権国家を転覆させることをプログラム化している米政権こそ、世界で最も人権を無視している権力機関だと言えるだろう。
その人権無感覚な米国が、共和国の社会主義体制を崩壊させるための様々な作戦を、朝鮮半島内外で日常的に実施していることを告発する。
オバマ米政権の対朝鮮戦略は、すでに危険な一線を超えていることを知るべきだ。
2014年4月17日 記