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「朝鮮問題へのレッスン」3.ポツダム宣言

3.ポツダム宣言


 日本の敗戦は、朝鮮半島、朝鮮人にとっては、直ちに日本植民地支配からの解放、民族の独立を意味していた。

 しかし朝鮮の解放それ自体は、朝鮮民族の武装闘争、抵抗運動の結果というより、連合国側の勝利、日本側の敗北によってもたらされたことが大きかった点に、解放直後の朝鮮と朝鮮人、解放史を若干、複雑にしている面がある。

 日本の戦争敗北の型を決定したのは、ポツダム宣言であった。

 ポツダム宣言は、米、英、中(蒋介石政権)が45年7月26日に、後にソ連も対日参戦と同時に参加し、日本に戦争終結の条件を突き付けた連合国側の宣言であった。

 そのポイントは、日本の軍国主義者と戦争指導勢力の除去、日本への軍事占領、戦争犯罪人の処罰、日本の民主化に対する障害の除去、実物賠償の取り立て、軍需産業の禁止、日本の主権を本州・北海道・四国・九州と連合国の決定する諸小島とし、同時に植民地支配をしていた朝鮮を独立させ、朝鮮人自身の政権を樹立することを約束していた。

 当時の日本帝国主義支配者の中枢は、この宣言を受け入れることに手間取っていた。

 その間、2回の御前会議(天皇臨席)と2回の原爆投下(広島と長崎)を経て、8月10日に宣言を受け入れることを決定し、無条件降伏を連合国側に伝えて、第2次世界大戦は終結した。

 一方、朝鮮側からみるポツダム宣言の意味は、植民地からの解放で、直ちに独立した政権を樹立することが出来るという、歓喜であった。

 ポツダム宣言の前に、カイロ宣言(43年11月27日、米・英・中の3巨頭会談)、テヘラン会談(43年12月2日、米・英・ソの首脳)、ヤルタ会談(45年2月4日、米・英・ソの首脳)のそれぞれの会談で、第1次世界大戦以後に日本が奪った地域の剥奪に合意していた。

 満州(中国東北地方)と台湾の中国への返還、朝鮮の独立などであった。

 つまり、朝鮮の独立は国際公約であって、その最後の確認がポツダム宣言であったと言うことが出来る。

 カイロ、テヘラン、ヤルタ、ポツダムのいずれの会談においても、米国が主導的位置にいたから、朝鮮の独立公約は、米国が国際社会に果たした約束であったということも出来るだろう。

 しかし現実は、今日まで米国はその約束を果たしていないばかりか、南朝鮮の軍事支配と南北朝鮮の分断政策を続けていて、未だに朝鮮人民を苦しめている。

 朝鮮半島を朝鮮人自身によって解放できなかった原因を、2点だけ指摘しておく。

 第1は、日本の朝鮮植民地支配が余りに過酷であったことに、原因があること。

 1930年代までに、民族主義者を含む反日、抗日の闘志たちを徹底的に弾圧し、結果的に彼らを国外の周辺部に追いやってしまったことが上げられる。

 1930年代以降に台頭する革命家たちも、周辺の国外からでしか日本軍との戦いができなくなってしまっていた。

 朝鮮革命家たちにとっても、隔靴掻痒の感があっただろう。

 朝鮮半島内部で親日派を培養していた日本は、「皇国臣民化」政策を強行し、抵抗勢力を完全に孤立化、少数化、地下化へと追いやってしまった。

 朝鮮半島内部での武装闘争組織と維持などが、全くできなくなってしまっていたのだ。

 第2は、米軍が無線連絡で朝鮮総督府に指示を出し、米軍が朝鮮半島に上陸するまで、総督府の官吏と朝鮮人親日派の連中を、元のポジションのまま温存させたことである。

 後に仁川から上陸した米軍政庁は、日本の統治機構と親日派を活用して、朝鮮半島南部支配を、反共政策(冷戦体制の最前線を構築)一色で実施した。

 1、2のいずれの原因も、日本の帝国主義政策が深く関わっていたことになる。

 否、日米合作だったと言っても差支えないだろう。

 日帝は朝鮮を植民地化する以前は、「朝鮮の自立化」(帝国からの分離)を言い立て、米帝は各種国際宣言で「朝鮮の独立」(日帝からの)を言い立てて、どちらも朝鮮に対しては一時的に「美しく立派」な言葉を使用して、自らを飾っている。

 「帝国主義というものは、相手のものをはぎとりながら、平気で善意の保証をしたり、人殺しをしながら、生命の神を聖公言したりする下卑たやり口の常習者なのだ」(ジャワーハルラール・ネルー「父が子に語る世界歴史」第3巻みすず書房)

 ネルーは、帝国主義者の本質と特性を言い当てている。

                                       2013年11月4日 記

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愛媛現代朝鮮問題研究所のブログです。

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