「歴史から取り残された日本」
「歴史から取り残された日本」
※本原稿執筆(6月8日)後、情勢に変化がありましたが、そのまま掲載させていただきます。執筆当時の筆者の見解として、お読みください。
1.
安倍晋三首相は6月7日、8日の両日、ワシントンに行き、トランプ米大統領との7回目の日米首脳会談を行った。
今回の首脳会談は、会談というよりはお願い外交である。12日にシンガポールで予定されている朝米首脳会談に向けてのトランプ詣と言ってもいい。
歴史的な朝米首脳会談を前にして、これまで安倍政権は朝鮮への経済制裁や圧力強化策を実施するように各国に要請し、歴史に逆行する姿勢を示してきた。
トランプ氏に対しても早い時期から会談や電話で、「北朝鮮の完全な非核化」先行で、その段階が確認できるまでは各種経済支援を行わないことを確認していた。
拉致問題解決についても、首脳会談時にトランプ氏から伝えてもらうことを依頼していた。「拉致問題は自分の政権内で解決する」と、あれだけ豪語していたにも関わらず、自らで話し合って解決することができず、人に頼むとはだらしのないことだ。
しかし、シンガポール会談直前になって、トランプ氏の発言がおかしくなってきたので、今回のワシントン詣はその確認の意味もあったのだろう。安倍氏にとっては気になるところだ。
これは日本の問題、何より安倍氏自身の政治問題である。それをトランプ氏に依頼するしか方法がないところに、今の安倍氏の政治的限界がある。
もともと拉致問題は小泉政権が日朝国交を進めるために朝鮮との窓口を開けようとして出てきた問題である。驚愕はしたが、小泉政権は朝鮮との窓口は開けようと努力してきた。
ところが、官房副長官として同行していた安倍氏は、その拉致問題を政治的に取り込み、首相まで上り詰めると、「拉致、核、ミサイル問題が解決するまで、日朝国交正常化はしない」と朝鮮とのあらゆる窓口を閉じてしまった。おかしなことだ。相手との窓口を閉じてしまって、どうして拉致問題を解決するのだろうか。
その疑問に安倍氏自身も答えなければ、拉致被害者家族会も安倍氏に質問もしないまま、ここまで来てしまった。このおかしな状況のまま、安倍氏は日本国内に向かって、拉致問題の「解決」を目指すと語り、今日まで来ている。
2.
金正恩朝鮮労働党委員長は、日本との窓口はいつでも開けていると言っている。
にも関わらず安倍氏は、「拉致、核、ミサイル」が完全解決するまでは、朝鮮とは一切交渉しないとおかしなことを言ってきた。
日朝平壌宣言で確認している日本の戦後賠償を経済援助方式で解決(韓国と同じ方式)すると、約束の金額を出すことを、国連の安保理で決議した制裁違反になるとの理由をつけて、日朝交渉を進めようとしない。
その結果、今回の朝米首脳会談に関連するプレーヤーから1人外れてしまい、犬の遠吠えのように、誰かれ構わず、朝鮮への「圧力」を叫んでいる。
ますます蚊帳の外に置かれ、歴史的な現像から置き去りにされている。
安倍氏の歴史オンチ、右翼チックさがそうさせているのだが、私は日本人の1人として何とも歯がゆい思いである。
朝米首脳会談は、朝鮮半島のみならず、アジア地域全体にとって、冷戦終結の始まりになるという歴史的に重要な会談である。
朝鮮が米国との間で朝鮮戦争を終結し、平和協定へと向かっていくならば、朝鮮半島全体に核も武器も必要なくなる。
その状況に至った時、朝鮮と講和条約(日朝国交)を結んでいない日本だけが唯一、朝鮮と敵対関係になる。こうなった場合、それは歴史オンチの安倍氏が招いた結果と言えるだろう。
今、安倍氏ができることは、歴史の流れをしっかりと捉え、歴史の流れから置いていかれないようにと、自覚することである。
少なくとも、朝米首脳会談の進行を妨害しないことである。
2018年6月8日 記
※本原稿執筆(6月8日)後、情勢に変化がありましたが、そのまま掲載させていただきます。執筆当時の筆者の見解として、お読みください。
1.
安倍晋三首相は6月7日、8日の両日、ワシントンに行き、トランプ米大統領との7回目の日米首脳会談を行った。
今回の首脳会談は、会談というよりはお願い外交である。12日にシンガポールで予定されている朝米首脳会談に向けてのトランプ詣と言ってもいい。
歴史的な朝米首脳会談を前にして、これまで安倍政権は朝鮮への経済制裁や圧力強化策を実施するように各国に要請し、歴史に逆行する姿勢を示してきた。
トランプ氏に対しても早い時期から会談や電話で、「北朝鮮の完全な非核化」先行で、その段階が確認できるまでは各種経済支援を行わないことを確認していた。
拉致問題解決についても、首脳会談時にトランプ氏から伝えてもらうことを依頼していた。「拉致問題は自分の政権内で解決する」と、あれだけ豪語していたにも関わらず、自らで話し合って解決することができず、人に頼むとはだらしのないことだ。
しかし、シンガポール会談直前になって、トランプ氏の発言がおかしくなってきたので、今回のワシントン詣はその確認の意味もあったのだろう。安倍氏にとっては気になるところだ。
これは日本の問題、何より安倍氏自身の政治問題である。それをトランプ氏に依頼するしか方法がないところに、今の安倍氏の政治的限界がある。
もともと拉致問題は小泉政権が日朝国交を進めるために朝鮮との窓口を開けようとして出てきた問題である。驚愕はしたが、小泉政権は朝鮮との窓口は開けようと努力してきた。
ところが、官房副長官として同行していた安倍氏は、その拉致問題を政治的に取り込み、首相まで上り詰めると、「拉致、核、ミサイル問題が解決するまで、日朝国交正常化はしない」と朝鮮とのあらゆる窓口を閉じてしまった。おかしなことだ。相手との窓口を閉じてしまって、どうして拉致問題を解決するのだろうか。
その疑問に安倍氏自身も答えなければ、拉致被害者家族会も安倍氏に質問もしないまま、ここまで来てしまった。このおかしな状況のまま、安倍氏は日本国内に向かって、拉致問題の「解決」を目指すと語り、今日まで来ている。
2.
金正恩朝鮮労働党委員長は、日本との窓口はいつでも開けていると言っている。
にも関わらず安倍氏は、「拉致、核、ミサイル」が完全解決するまでは、朝鮮とは一切交渉しないとおかしなことを言ってきた。
日朝平壌宣言で確認している日本の戦後賠償を経済援助方式で解決(韓国と同じ方式)すると、約束の金額を出すことを、国連の安保理で決議した制裁違反になるとの理由をつけて、日朝交渉を進めようとしない。
その結果、今回の朝米首脳会談に関連するプレーヤーから1人外れてしまい、犬の遠吠えのように、誰かれ構わず、朝鮮への「圧力」を叫んでいる。
ますます蚊帳の外に置かれ、歴史的な現像から置き去りにされている。
安倍氏の歴史オンチ、右翼チックさがそうさせているのだが、私は日本人の1人として何とも歯がゆい思いである。
朝米首脳会談は、朝鮮半島のみならず、アジア地域全体にとって、冷戦終結の始まりになるという歴史的に重要な会談である。
朝鮮が米国との間で朝鮮戦争を終結し、平和協定へと向かっていくならば、朝鮮半島全体に核も武器も必要なくなる。
その状況に至った時、朝鮮と講和条約(日朝国交)を結んでいない日本だけが唯一、朝鮮と敵対関係になる。こうなった場合、それは歴史オンチの安倍氏が招いた結果と言えるだろう。
今、安倍氏ができることは、歴史の流れをしっかりと捉え、歴史の流れから置いていかれないようにと、自覚することである。
少なくとも、朝米首脳会談の進行を妨害しないことである。
2018年6月8日 記
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