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「沖縄県民の怒りは日本の怒り」

「沖縄県民の怒りは日本の怒り」


 沖縄県民だけの怒りではなく、日本全体の怒りの表現である。

 米軍属の男性によって、沖縄県うるま市の女性が殺害された事件に抗議する沖縄県民大会が19日、那覇市の奥武山陸上競技場で開かれた。

 主催者側発表で、約6万5千人が参加。

 会場には、「怒りは限界を超えた」「全米軍基地撤去」などの多くのプラカード。それは、沖縄県の怒りと悲しみであり、日本全体の強い抗議の表現である。

 被害女性の父親が寄せた「米軍人、軍属による事件、事故が多い中、私の娘も被害者の一人となりました。次の被害者を出さないためにも、全基地撤去、辺野古新基地建設に反対。県民が一つになれば可能だと思っています」とのメッセージが読み上げられた。

 1972年の本土復帰から2015年までの43年間で、米軍の犯罪事件は5986件が発生し、うち殺人、強姦、強盗などの凶悪事件が574件を占めている。(沖縄県警発表)

 これらの数字は、米軍基地が存在しているためで、だから沖縄は米軍基地の存在そのものに、疑問と怒りが極点に達している。

 米軍や日本政府はこれまでと同様、「再発防止」「綱紀粛正」との言葉だけの約束では、誰も許さないということだ。

 大会の最後に、在沖海兵隊の撤退、県内移設によらない米軍普天間飛行場の閉鎖・撤去、遺族らへの謝罪や補償、日米地位協定の抜本的改正――などを求める決議を採択して、米軍と政府に、強い抗議の意思を表明した。

 安倍政権は、この怒りの表現を真摯に受け止めて、沖縄県民の心情に向き合い、米軍隷属化の日米安保条約や日米地位協定を見直し、日本の主権を確立すべきである。

 

 ―ところで、治療転換をかねて、那覇市の大会参加を中心に、久し振りの沖縄旅行を計画していたが、直前に体力低下(抗がん剤の副作用)で断念してしまった。米軍と安倍政権への怒りの気持ちを、沖縄の人たちと共有できなかったことが、残念でならない。


                                                                   2016年6月20日 記
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「『特定失踪者』の出現」

「『特定失踪者』の出現」
 
 
 福井県警は16日、「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない」とする行方不明者886人のうち、1997年に失踪した宮内和也さん(51)を発見したと発表した。

 宮内さんは97年4月、当時勤務していた福井県三方町(現若狭町)の役場で、「艇庫に行く」と行って出かけたまま消息が途絶えていたと言う。

 「特定失踪者問題調査会」が認定する「北朝鮮による拉致の可能性」という基準が、非常にわかりにくい。

 宮内さんが行方不明となった97年も含め、80年代後半以降、「北朝鮮による拉致」というのは考えにくい。むしろ、無いと言ってもよい。

 にもかかわらず「特定失踪者問題調査会」は、最近の行方不明者や、国外旅行者まで含めて、「北朝鮮による」とのレッテルを貼った拉致を増産させ、いつの間にか886人もの行方不明者を「北朝鮮の行為」にしてしまっている。

 その結果、各県に特定失踪者の「家族会」を結成し、拉致被害者の「家族会」の応援団以上に、反北朝鮮活動を続けている。

 行方不明者を調査、捜査する日本の警察能力や各県警間の協力体制が低下しているため、行方不明者の発見数も減っている。

 そのため、行方不明者の家族たちは、警察で埒があかなかったことを最後に「特定失踪者問題調査会」に駆け込む図式となっている。

 「会」によって、「北朝鮮による拉致の可能性」との認定を受けただけで、もしかしたら「北朝鮮で生きているかもしれない」との希望と同時に、「北朝鮮憎し」との感情を抱くようになる。

 「会」は、行方不明者家族の心理を利用して、反北朝鮮政策を推進する安倍晋三政権の右傾化をフォローしている。

 「会」が認定した「特定失踪者」の中に、数年前、北海道や東京などで発見され、家族と再会を果たした人たちがいる。

 「家族会」の人たちは、再度、県警の調査、捜査記録を精査した上で、各県警連携での調査やり直しを要求すべきである。

 そのための国会への要請活動も、一つの方法となる。


                                                                   2016年6月17日 記

「防衛省の軍事技術研究費公募制度に反対」

「防衛省の軍事技術研究費公募制度に反対」


 日本では軍需品のことを、防衛装備品と言い替えている。

 その防衛装備品を管轄する防衛装備庁は、防衛装備品に応用可能な技術開発のために、「安全保障技術研究推進制度」を設置している。

 この制度は、大学や独立行政法人、企業などを対象に、応用を見据えた研究テーマを掲げ、基礎研究に資金を提供し、委託しているものである。(軍事技術への応用可能な基礎研究に、防衛省が研究費を支給する公募制度)

 今年度の研究テーマは、

①新しいサイバー攻撃対処技術
②高出力電池に関する基礎的技術
③サメやペンギンなど生物体表面構造を応用した摩擦抵抗の研究
④3D造形による高耐熱・高強度部材の製造技術
⑤レーザーシステム用光源の高性能化
⑥再生エネルギー小型化に関する基礎技術
⑦昆虫や小鳥サイズの小型飛行体の実現

 などの7部門である。

 防衛省は研究推進制度について、「依頼する研究内容は、防衛装備品そのものの研究ではなく、将来の装備品に適用できる可能性のある基礎技術を想定している」として、軍事研究に直結することを言い訳している。

 一方の日本学術会議は、1950年と67年に、「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない」との声明を出して、軍事研究とは距離を置いてきた。

 その日本学術会議(大西隆会長)は5月26日、「安全保障と学術に関する検討委員会」を設置したと発表した。

 財政事情が苦しい大学の一部では、基礎経費を補う資金づくりのために応募している。

 防衛省と研究機関の距離が縮まっている現実に、公募制度に反対する大学教授らが4月25日、記者会見し、「大学の教育・研究に悪影響を与え信頼を失うことになる」「基礎研究だといくら強調しても、防衛予算のお金を使う以上は軍事研究だ」と懸念と危機感を表明した。

 そのような研究者たちの懸念を無視した自民党国防部会は6月2日、安倍晋三首相に、「防衛装備・技術政策に関する提言書」を手渡し、推進制度の予算を100億円規模に増額要求した。

 戦前、研究者が兵器開発に加担した悲劇に至る道を、安倍政権は強引に用意して、確実に戦争が出来る国づくりを進めている。非常に危険だ。


                                                                  2016年6月11日 記

「南朝鮮へのサード(THAAD)配備に反対」

「南朝鮮へのサード(THAAD)配備に反対」

 
 南朝鮮の韓民求国防相は4日、シンガポールでの第15回アジア安全保障会議(6月3日~5日)の主題発表後の質疑で、「高高度防衛ミサイルシステム(サード)」の配備意志を、政権として再度明らかにした。

 サード配備は、共和国の核実験を口実に、米国が強く要求したもので、その能力は、朝鮮半島をはるかに越えて、中国とロシアの一部地域にまで及ぶ。

 つまり、アジア・太平洋戦略を強化(共和国を封じ込め、中国を包囲する戦略)する意味で、米国が南朝鮮に築こうとしているのである。

 中国はもとよりロシアは、米国に抗議しているが、これは当然のことで、今後は米中間、米ロ間に加え、韓中間と韓ロ間の対立が懸念される。

 そればかりか、東北アジアと朝鮮半島の平和が脅かされる可能性まで、十分にある。

 朴槿恵政権は、米韓軍事同盟の必要性を強調して、ますます共和国への対決姿勢を露わに、サード配備への体制づくりを進めている。

 結局、朝鮮半島の平和と安定を脅かしている犯人は、南朝鮮政権を利用している米国であることが、サード配備問題だけを見ても明らかである。

 アジアと朝鮮半島に、さらなる混乱と軍事的対決を持ち込む米国に、強く抗議する。

 南朝鮮へのサード配備の全面中止を要求する。


                                                                  2016年6月10日 記

「疑惑に満ちた『集団脱北』事件を明らかにせよ」

「疑惑に満ちた『集団脱北』事件を明らかにせよ」

(駐日本韓国大使への抗議)


 2016年4月8日、韓国統一部が中国浙江省の柳京レストランで働いていた13人を、「北朝鮮海外レストラン従業員の集団脱北の事実」だとして発表した。

 彼女たちは4月5日の夜に中国のレストランを抜け出し、上海へ陸路を利用して移動した後、6日の朝、マレーシアを経て7日にソウルの仁川空港に到着したことが分かった。

 この事件について統一部発表とその後の若干の経緯から、いくつかの疑問と疑惑が生じてきた。

 以下、事件の疑義を明確化することを強く要求する。


1.従来、脱北者たちの脱北事実と身元をソウル到着直後に公開してこなかったのに、今回の場合は、翌日に発表するという異例的な措置に疑問を感じる。

2.通常、脱北者たちが第3国から韓国に入るまでの入国関連書類準備などが、数カ月かかると伝えられている。今回はマレーシアを経てすぐに入国できたのは、あらかじめ国家情報院など情報機関が、書類準備をしていたのではないかとの疑問を持った。

3.彼女たちの脱北事件を一方的に公開したことと、公開した時点が5日後に総選挙を控えていたことから、総選挙と関連がある政治目的の「企画脱北」劇だとの疑念がある。

4.彼女たちは北への送還を要求してハンガーストライキを行い、うち一人は死亡し、数人が失神状態になり、生死の岐路に立たされているという情報が伝えられている。これは南北問題を越えた基本的な人権問題として、看過できない重大問題となっている。このことに抗議するとともに、実態を公表することを要求する。

5.北の家族たちが国連機関に手助けを要請するなど、公開的に手助けを呼び掛けて、娘たちと会うことを求めているのは、突然に娘がいなくなった肉親としては切実で、当然な行為である。「自由意思」によって韓国に来たのだと主張するのなら、肉親たちとの意思確認を公開的に実施すべきである。

6.国家情報院は何を隠しているのか。新たな「離散家族」をつくらないためにも、事実の公開を強く要求する、そのためには、「企画脱北」との疑念もある今回の事件には、12人の女性たちに弁護士の助力をうける権利を保障すべきである。人権侵害的な幾つかの措置があることに、強く抗議します。

7.南北朝鮮は、「統一に向かう過程から生じる特殊な暫定的関係」(91年)と確認し合ったように、分断国家ではなく同じ朝鮮民族である。同じ民族として、対立点や新たな「離散家族」をつくらず、統一の方向に向かっていくべきである。今回の脱北事件には「企画脱北」、総選挙のための政治利用、彼女たちを隔離して「帰順工作」を行っているなど、統一事業とは全く反対のことが伝えられている。被害者家族たちが要求している通り、板門店およびソウルでの直接面会と意思確認の措置を、公明正大に実施することを強く要求します。

 以上、彼女たちの基本的人権の保障を要求するとともに、南北朝鮮の統一事業を妨げるような事柄には強く抗議します。

2016年6月7日

愛媛現代朝鮮問題研究所
代表 名田隆司

「オバマ米大統領の広島演説」

「オバマ米大統領の広島演説」

1.
 オバマ米大統領は、三重県で開かれていた主要7カ国首脳会議(伊勢志摩サミット)の閉幕後、広島入りして平和記念公園を訪問した。
 
 現職の米大統領として初めて被爆地を訪れたことと、改めて「核なき世界」への決意を示したことで、多くのメディアは「歴史的」であったと、好意的に報道していた。

 オバマ氏は、「私の国のように核を保有している国々は、恐怖の論理から逃れ、核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければならない」と、広島でも「核なき世界」の実現を表明した。

 そして、核兵器使用につながる戦争そのものを否定し、「普通の人はもう戦争を望んでいません」、「国家や指導者が選択をするとき、このシンプルな良識を反映させれば、広島の教訓は生かされるのです」、「広島と長崎が『核戦争の夜明け』ではなく、私たちの道徳心の目覚めの始まりとして知られるような未来なのです」と結んだ。

 オバマ演説は、広島という被爆者慰霊の地での、17分間という短い(所感)にも関わらず、米国の核政策の自家撞着ぶりが妙実に現れていた。

 09年のプラハ演説と同様、「核なき世界」への努力をと、美しい言葉で人々を魅了しながらも、では米国自身の核削減政策はどうするのか、オバマ自身はどのような問題に取り組むのかといった具体的な事柄については、今回も一切語ることはなかった。

 さらに、今後30年間で1兆ドル(約110兆円)を投入して、核戦力の更新計画を進める核政策を、オバマ政権下で決定したことと、彼の「世界の非核化」公約は完全に矛盾していたため、広島での「オバマ言語」は空疎にしか響いてこなかった。

 今後、核弾頭や運搬手段の戦略爆撃機、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、戦略原潜を更新していくという計画は、いずれの核運搬手段でも相互運用が可能な核弾頭の再設計を実施していくということなのである。

 これは、核兵器削減論とはまったく対立する政策である。

 しかも、保有する核弾頭をいつでも実戦用に使用できるよう、臨界前核実験や爆発を伴わない新型の核実験を繰り返すことも、計画されているのである。

 このような米国の核政策下では、核先制攻撃論や核恫喝論などが、「常態化」しているとしか思えない。

 それは今も根強く残る、日本への「原爆投下正当化論」と繋がっているのだろう。


2.
 米国の二重基準政策は、何も「核問題」だけではないが、核問題の二重基準は、世界の非核化推進を遅らせ、甚だしくゆがめている。

 核拡散防止条約(NPT)に未加盟のインド、パキスタン、イスラエルの核保有は「認知」していながら、朝鮮(NPTを脱退)の核保有に抗議している。

 しかも、米国(日本も)は、インドと原子力協定を結び、二重基準以上のNPT規定違反を犯しているのだ。

 核実験全面禁止条約(CTBT)も、米国はまだ批准していない。オバマ氏はプラハ演説で、CTBTへの批准を約束していたにも関わらず、その後は積極的なアクションを行わなかったのだ。

 残り任期中での議会対策も難しいようで、約束の達成は極めて困難な状況になっている。

 また、ロシアと2010年に合意した「新戦略兵器削減条約」(新START)は、1550発までの削減を決めていたが、12年以降は米ロ間の対立で、交渉がストップしたままである。

 ロシアとの対立があったとはいえ、オバマ政権時代の米核兵器の削減は700発と、過去の歴代政権よりもずっと少ない。

 これでは、オバマ氏の「世界の非核化」発言の虚しさだけが、私たちに響いてくるだけで、米国とオバマ政権の核政策に大いなる疑問を抱かざるをえない。

 中国の環球時報は28日、「日米が核抑止力に依拠した政策を取りながら、核廃絶の理想を主張するのは矛盾している」と、専門家の声を伝えた。

 パキスタンのカイデ・アザム大学のザファル・ジャスパル教授は、核軍縮が進まない現状を、「自国の核保有を望みながら、他国に放棄を迫っているからだ」と批判した。
(以上、29日付け、「愛媛新聞」)


3.
 オバマ氏の大統領任期は、残り8カ月である。

 7年前に約束した「世界の非核化」を実現するために、自国内の核兵器削減と、攻撃的な核政策の転換のどれか一つでも実施するには、微妙な期間である。

 しかし、強い意志があれば不可能なことではない。

 とりわけ、過去に政策化した朝鮮への核恫喝、核先制攻撃を廃止する措置を取ることは決してできないことではないのだ。

 そのことを米国の核不使用への宣言として、核兵器非合法化へと進めていくならば、朝米関係の改善は進み、オバマ氏のガシーづくりにも寄与するだろう。

 米国が核先制攻撃政策を維持している限り、「世界の非核化」は永久に実現しないことを、オバマ氏個人は理解した上で、大統領退任後も、「世界の非核化」を目指して運動を続けていくことをここで提言しておく。

 その時はじめて、プラハと広島での演説と、彼自身の人生観との整合性がつくのである。


                                                                   2016年5月29日 記
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