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「米韓合同軍事演習を中止せよ」

「米韓合同軍事演習を中止せよ」


 米国は、3月初旬から米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」「フォール・イーグル」を実施すると表明している。

 同軍事演習は、北侵核戦争を目的とした作戦演習で、毎年、内容をエスカレートさせ、時には米韓軍以外の米同盟軍も参加(自衛隊も参観名目で参加)する、大規模の戦争演習である。

 米国は、この演習の延長上で、実際の戦争(北が挑発したという前提で)になることも想定していて、一般的に言う「軍事演習」以上の目的を持っている。

 2012年以降、合同軍事演習にスパイ及びテロ集団を浸透させる作戦を組み合わせ、共和国の政治体制(朝鮮労働党中央委員会)を破壊する作戦を実行している。

 もちろん、それ以外に米国は、共和国の政治体制破壊工作を、日常的に行っている。

 その集大成が軍事演習である。

 今年1月、米国・南朝鮮(韓国)連合師団参謀部を編成した米国は、その本格的な稼働を始めた。

 この師団参謀部は、南朝鮮駐屯米軍の主力となっている米第2師団を母体に、南朝鮮軍(軍事主権たる作戦権を米軍に渡している)を加えて編成している。

 編成の目的は、いったん有事となれば北の核とミサイルを除去したのち、平壌の地で「特別民事作戦」(テロ作戦)などの特殊任務を遂行して、党中枢部を破壊、または反体制者を組織し、共和国の政治体制を消滅させることを任務としている。

 今年の合同軍事演習には当然、この米韓連合師団参謀部も参加する。

 ところで、合同軍事演習の内容は年々、凶暴になっていて、軍事演習からいつ戦争が勃発してもおかしくない危険なレベルにまでなっている。

 合同軍事演習の必要性について米国は、共和国の「軍事的脅威」「軍事的挑発」だと喧伝している。

 朝鮮半島での米軍の軍事演習は、共和国が核やミサイルを保有する以前から行っていたのだから、共和国の核保有そのものが問題ではなかったことになる。

 なぜ、米国は、朝鮮半島で軍事演習を実施するのか。

 それは米帝国主義の好戦的性質から来ている。米国が発信する朝鮮半島の「平和と安定」との意味は、共和国の社会主義的政治体制を武力で崩壊させた後の、朝鮮半島統一(自由主義体制での統一)の姿を主張しているのである。

 それはもちろん、歴史と世界を欺いている。

 朝鮮半島での米韓合同軍事演習は直ちに中止すべきである。

 そうすれば、米国が発信する表現は、幾らかは信頼することができる。


2015年2月19日 記
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「金正日総書記の生誕73周年を祝賀する」

「金正日総書記の生誕73周年を祝賀する」

 金正日総書記の生誕73周年を、心から祝賀します。

 逝去されて早や3年が過ぎ去りましたが、まだ、私の脳裏には革命の指導者としての総書記の、力強い声を聴いております。

 総書記の生誕を祝う日の朝、私が住む南国のこの松山にも、めずらしく雪が舞っていました。

 白頭山頂の降雪と比べるべくもないが、2月の雪、2月の寒さから繋がっていく白頭山革命の威力と高貴さとを静かに考えながら、金正日総書記の誕生秘話に思いをめぐらせています。

 同時に、現21世紀の米帝国主義との戦いを、総書記の革命語録から学ぼうとしています。

チュチェ104(2015)年2月16日 記

「オバマ大統領の発言を糾弾する」

「オバマ大統領の発言を糾弾する」


1.分断70年の朝鮮

 70年という歴史は、地球誕生の時間で計れば瞬間ではあるが、人生の時間ではひとつの生涯となる。

 世界は今年、戦後70年という歴史的な節目を迎え、各国各地で様々なイベントが予定されている。

 その共通事項には、再び戦争をしてはならず、平和構築への努力を怠ってはならないとしている。

 朝鮮(共和国)では、解放と朝鮮労働党創建の、ともに70周年を迎えることになる。

 しかし同時に、民族分断という最も悲劇的な70年の歴史も迎える。

 南北朝鮮の分断は、米国の東西冷戦政策、アジア太平洋戦略に端を発している。

 したがって、南北統一問題は、南北朝鮮間の対話推進以上に、共和国と米国との政治会談が重要になってくる。

 つまり、朝鮮戦争停戦協定の現在は朝米平和協定に変更する問題であり、米国の南朝鮮占領政策の清算問題だということになる。

 このため共和国は、米国に対して平和協定の締結を、南朝鮮に対しては、南北交流事業の拡大を呼び掛けてきた。

 今年の新年の辞で金正恩第1書記は、米韓合同軍事演習を中止すれば、核実験を一時的に中止することを、米国と南朝鮮に呼び掛けた。

 朝鮮人民はもちろんのこと、世界は朝鮮半島の緊張緩和を切実に望んでいる。

 その緊張を高めている元凶こそ、毎年実施している米韓合同軍事演習であった。

 共和国への侵攻を目的としているこの合同軍事演習の中止を要求することは、朝鮮半島の緊張を除去することであり、緊張を除去することは平和安定を保障することに繋がっていくからである。

 そのことは、共和国の平和安定政策に根差している。


2.キューバ政策転換の裏

 一方、オバマ米大統領は昨年12月17日、「対キューバに対する政策転換」を発表した。

 50年間の孤立化政策は失敗だったとして、対キューバ外交の転換(国交正常化)に踏み切り、1月21日から交渉を開始している。

 米国のキューバとの国交正常化の動きを歓迎するものの、疑問点も残る。

 米国は正常化後のキューバに、米国式の自由と民主化、文化の浸透によって、キューバの社会主義を時間をかけて変更させることを考えている。

 キューバのラウル・カストロ国家評議会議長は、社会主義体制を変えるつもりはないと明言して、オバマに反感している。

 それでも米・キューバ関係が進行していくのは、米国が中南米戦略の転換を進めようとしているからである。

 オバマ大統領は、キューバの「民主化プログラム」への資金援助と同時に、ベネズエラに新たな経済制裁を科すという、中南米戦略の方針転換を明らかにしている。

 近年、中南米地域の主権確保を主導しているのが、キューバ以上にベネズエラであったため、米国の中南米戦略は、キューバではなく、ベネズエラを特別な標的にしてきたからである。

 今回の対キューバ政策転換は、ベネズエラ圧力へと戦術を転換したことを意味していた。

 そのことによって逆に、中南米はベネズエラ中核での反米結束が一層強化されていくだろう。

 このことによって、オバマ政権の対中南米諸国への政策転換は、米国が反自主化戦術を取り続ける限り、必ず破綻していくことを暗示している。

 同日、記者団から「これ以上どうやって北朝鮮を孤立させるのか」と、思いもかけぬ皮肉交じりの質問があった。

 現在、米国が国交を結んでいない国は、共和国、キューバ、イラン、ブータンの4カ国である。キューバとは国交を見据えての交渉、イランとは6カ国協議中、ブータンとはインドを介して交流している。

 残るは共和国だけである。だから記者は、オバマ大統領の対朝鮮政策の覚悟を聞いたのであろう。

 オバマ大統領は「北朝鮮の孤立化には効果があった。ただ、このままというわけにもいかない」と答えつつ、定まらない朝鮮政策の揺れを見せていた。

 
3.オバマの悪態

 オバマ大統領は1月22日、共和国を「最も孤立し、最も断絶され、最も残酷な独裁国家」だと誹謗し、「時間が経てばそのような政権は崩れる」などと、驚くべきほどの悪態をついた。

 これが、金正恩第1書記の新年の辞への、米国側の返答なのかと疑い、怒りを覚えた。

 サイバー戦で「追加制裁」を発表したことに続く米国の対共和国姿勢ではあるが、オバマ氏自身の恐怖的表現だとも思われる。

 ところでオバマ政権は2月6日、残り任期2年の安全保障政策となる「国家安全保障戦略」を公表した。

 この中で、2点を強調している。

 1点目は、「イスラム国」壊滅に向け、国際社会の取り組みを米国が主導していくとするもの。

 2点目は、米国は太平洋国家であり続けると宣言したことである。

 アジア太平洋地域重視の戦略を推進し、同地域の「米国の指導力は今後も不可欠」だと強調した。

 一方で「米国の影響力には限界がある」として、米国単独での国際紛争や課題には関与できないと、「力の限界」を自ら表明した。

 このアジア重視政策の表明は、中南米圧力政策をキューバからベネズエラにシフトしたように、今後のアジア圧力の重点政策を中国から共和国に移していくことを語っている。

 共和国への酷い侮辱言語を使用したことが、それを物語っている。

 だが、オバマ氏の言語は結局、朝鮮への70年間の孤立化政策を、暗に失敗だと認めたことと同じである。


4.朝鮮の返答

 朝鮮国防委員会は2月4日、ひとつの声明を発表した。

 「米国が通常戦力による侵略戦争を強要するなら朝鮮式の通常戦争で、核武力による侵略戦争を挑発するなら朝鮮式の核打撃戦で、サイバー戦で米国の最終の滅亡を早めようというのがわれわれの断固たる選択である」と、オバマ政権に反論した。

 体制「崩壊」を云々しているオバマ政権に対して、「人類戦争史が知らない主体的な戦略、戦術と独特な戦法」を適用するとの表現は、共和国が最強の防衛戦を準備していることを明らかにしたのだといえよう。

 当然の表現で、私は共和国の主張を支持する。

 帝国主義者の暴力と戦うことは、自主国家の当然の権利だからである。

 一方で、ローズ米大統領副補佐官は2月9日の記者会見で、「どの国も過去や歴史的感情を尊重しているとのメッセージを送ることが重要」、「日米は、かつての敵国が親密な友好国となり得るという手本を世界に示した」などと、安倍首相が出す予定の「戦後70年談話」内容への懸念を示し、日本にお説教をした。

 歴史認識が右寄りの安倍首相には、丁度よい言葉である。

 その同じ言葉を私から、朝鮮人民に70年を超えてもまだ苦しめる、分断敵視政策を続けようとするオバマ氏に進呈しておこう。

 「歴史的感情を尊重」すれば、「敵国が親密な友好国になり得る」ことを、過去の世界史も教えている。それをなぜ、朝鮮に適応しないのか。

2015年2月12日 記

「『70年談話』の表現をめぐって」

「『70年談話』の表現をめぐって」


1.
 今年は、戦後70年。

 安倍晋三首相が早くから、「70年談話」を発表することを表明していたので、その内容、表現などをめぐっての議論が、米国、中国、韓国などを交えた国会外で賑わっている。

 安倍氏の歴史認識を危惧しているからである。

 米国などの外圧の影響もあってか、最近の安倍氏は50年談話、60年談話の考え方を引き継ぐと発言もしている。

 とは言うものの、談話のキーワードとなっている「侵略と植民地支配」についての認識は、まだあいまい発言のままである。

 だからこそ問題だとしているのであるが、その問題の問題が、ややピンボケになっているきらいがあるように思える。

 安倍氏周辺の右派言論人たちの「侵略」「植民地」思考は、私たちとは随分と開きがあり、その論戦は噛み合っていない。

 彼等の歴史観の根底にあるものを、2つの観点から整理してみる。


2.
 左右どちらの側も戦争問題を語る場合に、「先の大戦」と表現する。

 しかし、「先の大戦」への解釈が分かれていて、戦争観そのものの理解をめぐる論争がまだ落ち着いていない。

 歴史家たちは大体、日本の戦争(先の大戦)時期を以下の4区分としている。

 1 米国に宣宣を布告した1941年12月8日からはじまる「太平洋戦争」から。
 2 関東軍が1931年9月に起こした「満州事変」から。
 3 日本が中国との間で宣戦布告なき戦争状態に入った1937年7月の「日中戦争」から。
 4 日本軍が朝鮮に侵攻した1876年2月の日朝修好条規(江華島条約)から。

 戦後50年の村山談話、戦後60年の小泉談話のキーワードはともに「植民地支配と侵略」「心からのお詫び」であった。

 今回、安倍首相が発表する「70年談話」に、談話のキーワードとなっている「植民地支配」「侵略」用語が入るのか、その考え方を表現するのかが、随分と議論されてきた。

 それはまた、安倍氏の修正主義的な歴史観、戦争観とも関連している。

 安倍首相は今年の年頭記者会見(1月15日)で、戦後70年の節目を、安倍政権として先の大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後、日本としてアジア太平洋地域や世界のためにさらにどのような貢献を果たしていくのかを、世界に発信したいと語った。

 安倍氏のこれまでの発言などから、「先の大戦」概念はどうやら1の太平洋戦争からを想定しているように見受けられる。

 つまり、米国との戦争についてだけ考え、米国に痛切な反省とお詫びをして、「戦後レジーム」(ポツダム体制下の日本)からの脱却メッセージを発信することを考えているように思える。

 先の大戦とは、日本の戦間期のことである。

 日本の戦間期の歴史は、朝鮮半島への旧日本軍進出、侵略、植民地支配から始まっていると考えるのが常識ではないか。

 日清戦争(1894年8月~)と日露戦争(1904年2月~)は、日本の朝鮮侵略政策をめぐる清国、ロシア両国との衝突である。

 31年9月の柳条湖事件は、朝鮮半島を足場とする中国東北部への侵略戦争である。

 日本軍の「満州国」建国宣言(32年3月1日)に対し、中国人民たちは日本の満州侵略だと認識し、排日・抗日の傾向を強めていった。

 旧日本軍はそのような中国に、一撃を加えれば屈服するだろうとの目的で、蘆溝橋事件(37年7月)を起こした。

 蘆溝橋での現地停戦協定の成立を破った日本は7月11日、内地師団の派遣を決定して北京、天津などを総攻撃し、宣戦布告なしの中国との全面戦争に入った。

 日本は次々に大軍を投入し、大本営を設置(37年11月)し、国家総動員法(38年4月)を発動し、仏印進駐(40年)などと戦火を拡大させたことで米英との矛盾と対立が激化し、41年12月に対米英開戦に踏み切った。

 日本はこうして第2次世界大戦の一翼を担ってしまったのだ。

 それは1876年2月に朝鮮に軍事侵攻した時から始まり、終始、戦争期間であったことを物語っている。

 一般に先の戦争に関して、太平洋(第2次世界大戦中、アジア太平洋地域での連合軍側の呼称)、大東亜戦争(太平洋戦争の日本側の呼称)、日中戦争、15年戦争など、幾つかの呼称が用いられている。

 そのどれも1931年の満州戦争以後の、特定戦間期(対戦国)だけであるから、それだけで日本の戦争時期を論じることはできない。

 50年と60年の首相談話にある「植民地支配と侵略」との文言の意味には、朝鮮と中国を念頭にしていることが読み取れる。

 とすると、この両談話には、朝鮮半島の植民地支配と中国への侵略戦争政策が認識されていて、「痛切なお詫び」の相手は朝鮮と中国であったことになる。

 その場合の日本の戦間期、先の大戦の意味は、朝鮮半島への侵略開始時期からだという意味になる。それが朝鮮半島への関与への始まりとなる江華島事件か、日韓併合条約(1910年8月)かの解釈の違いについては、ここでは問題としていない。


3.
 近代社会以降、国家間での合意は、文書での条約という形式が取り交わされるようになった。協約、協定、取り決め、宣言、交換公文、議定書、決定書などのものもある。

 条約を守ることは、国際関係、国際法の観点から大原則とされており、条約は対等な立場で締結されることもまた大原則となっている。

 ところが現代においても、合意の形式を整えつつ、大国が政治、経済、軍事的圧力によって結ぶ条約には、不平等的内容や侵略的意思が含まれている。

 日本は江戸幕府が1858年、欧米列強との間に結んだ一連の通商条約(不平等条約)を、明治維新後も引き継いだ。

 明治政府は条約改正のため、欧米列強との秘密外交に力を注ぐことになった。

 その屈辱外交の幣を朝鮮に向けたのである。

 1876年2月の「日朝修好条規」の調印は、江戸幕府が仏、蘭、米、英、露などと結んだ修好通商条約(開港条約)の朝鮮版を、日本が近代法の実行だとして朝鮮に脅迫したものである。

 近代法の条約という理屈から出発すれば、第1次日韓協約(1904年8月)、第2次日韓協約(1905年11月)、日韓併合条約(1910年8月)なども、近代社会での国際協約によって調印されたものだということになる。

 この日韓間の二国条約下で、韓国総監府設置(1905年12月)及び朝鮮総督府設立(1910年8月)となり、それも合法的に設置されたのだと、一部では主張してきた。

 以上のような理屈を用いて日本の朝鮮植民地経営は、この近代法による二国間条約によって行われたのであり、軍事力を背景とした侵略の結果ではないと、台頭してきたナショナリストたちは主張してきた。彼らは1965年に結ばれた日韓基本条約交渉中にもそのような発言をし、今また、安倍政権にたむろする論客たちが同じことを繰り返している。

 一方、日本の歴代のどの政権も、日米安全保障条約は日本の平和と安全にとって基軸だとのスタンスで政治を行っている。

 日米安保は、米軍を日本に安定的に駐留させ、日本の米軍基地を存続させていくために、米国が必要とした条約であって、日本との対等の条約ではなく、不平等条約である。

 日米安保が日本政治の基軸だとする思考が即ち、朝鮮半島の植民地支配は合法的な日本の植民地的「経営」だとの発想法につながっている。

 安倍首相の「植民地支配」と「侵略」定義の見直し発言も、それらと同根である。

 このため「70年談話」のキーワードでは、「太平洋戦争」「米国」「戦後レジーム」など、過去の談話とは決別した内容になるのではないかと危惧するものである。


2015年2月8日 記

「金正日総書記誕生73周年の祝賀」

「金正日総書記誕生73周年の祝賀」


今冬の日本列島の寒さは厳しく、南国の松山でも時折、雪が舞う日もあった。

 東北、北海道地方は氷点下20度、30度を記録し、ダイヤモンド・ダスト現象が見られたと伝えている。

 そのニュースを聞いていた私は、73年前の1942年2月16日の白頭山密営の朝のことを思い描いていた。

 空は青く晴れ、風もおさまり、ダイヤモンド・ダストがキラキラと天上から降り注ぐ刻、元気な呱呱
の声が白頭の峰峰から、朝鮮の大地へと響き渡っていた。

 金正日総書記の誕生の刻であり、朝鮮が日帝に勝利する前兆を告げる合図であった。

 私は、自然現象の厳しい2月が好きだ。

 それはまた、帝国主義者との戦いで、一歩も引かないことを教えてくれた金正日総書記の誕生の月でもあったからである。

 金正日総書記の誕生73周年に大きな祝杯を捧げ、祝意を伝える。乾杯。チュッペ。


チュチェ104(2015)年2月吉日

愛媛現代朝鮮問題研究所代表
名田隆司

「日米共同の対テロ作戦だったのでは」

「日米共同の対テロ作戦だったのでは」


1.
 「イスラム国」(IS)による日本人人質事件は、最初の動画から10日余りで、2人とも殺害されるという最悪の事態を迎えてしまった。哀悼。

 安倍首相は3日の衆院予算委員会で、「テロリストに過度な気配りをする必要はまったくない」とISとの対決姿勢を強調した。

 各野党は国会質問で、安倍首相の中東地域歴訪での言動と、事件への政府の対応とを質すことに、やや腰が引けている。

 首相は中東歴訪中の1月17日、エジプトで「ISと戦う周辺各国に2億ドルの支援を約束する」と表明した。

 この表明は、人質となっている2人の身に危険が及ぶとの認識に欠けているとの批判に対し、「テロリストの意図に反しないように、と世界が思ってしまうと、テロが横行する。過激主義の動きを止めなければならない」と、気色ばんだ。

 さらに、2012年の自民党の憲法改正草案9条が「国民の生命もしくは自由を守るための活動を行うことができる」としていることを踏まえて、国民の生命と財産を守る任務を全うするため、憲法改正への意欲を口にした。

 また今回の事件で、自衛隊による日本人救出について、武器使用基準を緩和する法改正を考えていることにも言及した。

 事件をきっかけとしたテロ対策を口実に、安倍首相は本音を語り、それを一気に実行しようとしている。


2.
 冷戦終結直後の90年3月、米国防衛省は予算削減の危機にあって、「脅威の空白」を埋めるための「敵探し」に奔走してきた。

 米国が、ソ連に代わる「敵」探しをしているタイミングに合わせるかのようにして、イラクがクウェートに侵攻した。

 米軍を主力とする多国籍軍が「湾岸戦争」を仕掛け、イスラム原理主義勢力を圧迫していった。

 このイスラム原理主義勢力を、民主主義社会の敵概念へと押しやった米国の政治が、ソ連に代わる「敵」としての「イスラム国」と戦う「有志連合」(60カ国)を結成した。冷戦時代と発想は同じだ。

 「イスラム国」をすぐに壊滅させないために、空爆だけを敢行している。米軍を中心とする空爆で、無辜の人民たちが犠牲になっており、多くの難民が発生している現実を忘れてはならない。

 難民の発生を、テロリストたちの暴力の結果だと米国側は喧伝しているが、それは世界を欺いている。

 米国の敵視政策が作り出しているのだ。

 だから、有志連合の中で難民支援を専門とする国が必要だった。

 昨年9月19日に有志連合結成(50カ国)を発表した時、米国は日本を含む数カ国を難民支援国(資金供出)としていた。

 であるから、安倍首相が1月17日、エジプトで難民支援の周辺国に2億ドルを出すと表明したのは、米国へのメッセージであると同時に、反「イスラム国」有志連合に加盟していることをアピールしたことになる。

 少なくとも、日本が敵国になったと、「イスラム国」側ではそのように受け止めたはずだ。

 安倍首相のエジプトでの発言が、今回の事件での大きなポイントだった。


3.
 オバマ米大統領は2日、2016年会計年度(15年10月~16年9月)の予算教書を議会に提出した。

 うち、国防予算案の総額は約5853億ドル(約69兆円)と、14年会計年度以来2年ぶりの増額となっている。

 国防予算の特徴に、ウクライナ情勢をめぐる対ロシア対策、軍事費を急増させている中国への対応、サイバー空間での能力強化(55億ドル)などと共に、イスラム原理主義組織の「イスラム国」掃討に53億ドルが計上されている。

 米国の国防予算案に「イスラム国」掃討・対テロリスト戦費が計上されたことと、今回の日本人人質事件との直接的な関係は、ないように見えて、結びついている。

 米議会での通りをよくするための、日米間の意思疎通作戦がどこかにあったろう。

 安倍首相の1月17日の発言は米国との合唱であり、対テロへの日米共同作戦の始まりとなった。


                                                             2015年2月4日 記

「ワイツゼッカー氏の言葉を」

「ワイツゼッカー氏の言葉を」


 ドイツの元大統領リヒャルト・フォン・ワイツゼッカー氏が1月31日、94才で死去された。

 ワイツゼッカー氏といえば、85年5月8日の連邦議会での『荒野の40年』演説で、「過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目になる」と、歴史を直視することの重要性を説いたことで、国の内外、特に日本に大きな反響を与えた。

 ナチスによる戦争犯罪を「ドイツ人全員が負う責任」だとして、90年の東西統一後(統一後の初代大統領も務めた)も、ドイツの戦争責任を語り、歴史的責任を正面から受け止め、関係国への謝罪と清算に努力してきた。

 一方、日本は戦後70年を迎えてもなお、南北朝鮮や中国との関係改善が、安倍晋三首相の歴史認識問題で、一層困難に直面している。

 通常国会では折しも、首相の「70年談話」の内容、文言をめぐって、若干の論争があった。

 首相はこれまで、村山談話と小泉談話及び歴代内閣の立場を引き継ぐと明言しながらも、その意図と表現が時と所、相手によってはぶれている。

 25日のNHK番組の発言では、村山・小泉両談話のキーワードとなる「侵略」「植民地支配」「お詫び」などの文言にはこだわらず、「安倍政権としてどう考えているのかという観点で出したい」とした。

 そのうえで、「日本は先の大戦の深い反省とともに、ひたすらに自由で民主的な国家を作り上げ、アジアや世界の友人たちの平和と発展のためにできる限り貢献してきた。平和国家としての歩みは決して変わらない」(27日の衆院本会議代表質問への答弁)と、未来志向を強調した。

 安倍談話に、戦後70年の総括と未来への展望を盛り込むことに、誰も異論はないだろう。

 しかしその前提として、過去の反省、植民地支配と侵略行為へのお詫びと反省がなければ、空疎な作文でしかない。

 ワイツゼッカー氏が言う「過去に目を閉ざす者」が語る未来像に、誰も信頼感を寄せないだろう。

 安倍首相は、談話作成を、有識者会議の議論を踏まえて、閣議決定すると言っている。

 70年談話は、安倍首相個人のものではない。

 今こそ、日本の過去清算につながる歴史認識を発出する時だ。

 そのためにも、歴史認識の全国民的コンセンサスづくり(有識者会議ではない)と、国会での議論が必要だ。

                                                              2015年2月1日 記

「戦後70年談話の内容は」

「戦後70年談話の内容は」


 安倍晋三首相は1月25日のNHKの討論番組で、8月に発表する「戦後70年談話」について、村山談話や小泉談話のキーワードになっている「植民地支配と侵略」「痛切な反省」「心からのお詫び」などの文言を、そのまま使わないとの否定的な考え方を示した。

 安倍氏は「今まで重ねてきた文言を使うかどうかではなく、安倍内閣としてどう考えているかという観点から出したい」、「先の大戦に対する痛切な反省と同時に、戦後70年、自由と民主主義を守り、アジア、世界の発展に大きな貢献をしてきた。日本の未来に対する意思をしっかりと書き込みたい」と、「未来」を強調した。

 未来を語るのなら、過去をしっかりと認識し、清算したうえでのことなら、世界に納得してもらえるだろう。

 これまでの安倍氏の歴史認識や発言を危惧してきた米国、反発してきた中国や南北朝鮮から批判されるたび、彼は歴代首相談話を「全体として受け継ぐ」と発言してきた。

 安倍氏の言う「全体として」の意味は、不明である。

 村山談話については、「安倍内閣としてそのまま継承しているわけではない」(13年4月の国会答弁)と、持論を語っている時もあったから、彼の真意をつかみきれていない。

 談話は、一個人や一党派の表現であってはならない。最低限、歴史認識問題に関しては、国会での論戦が必要である。

 同日のNHK討論番組で、公明党の山口那津男代表は「・・・継承するという意味が、国民や近隣諸国、国際社会に対しても、ちゃんと伝わる表現でないと意味がない」と注文をつけ、村山談話を尊重するように言った。

 当然のことだ。


                                                              2015年2月1日 記
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愛媛現代朝鮮問題研究所のブログです。

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