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「私は戦っている。」

「私は戦っている。」


 手術は、8月26日午前9時から始まった。

 事前の何度かの精密検査で膵臓全体に癌化が進んでいるということで、全摘する必要があるとの結果であった。

 膵臓全摘後の日常生活に苦難性があるとのことで、前日の幾重もの再検査を経て、4人の執刀医たちの協議で、膵臓の3分の1を残すことになった。

 手術で、胆のう、胃、十二指腸、肝臓、腸などの一部を切除し接合しているため、それらの後遺症とのたたかいが長引いている。痛み、腹部の張りなどと共に、様々な症状が出てきて、日々がそれらとの闘いでもあった。術後3週間近く過ぎても、個室のベッドでの治療が行われている。

 まだ、自分の意思が十分にコントロールできないときの9月3日、第3次安倍政権が発足してしまった。後日、閣僚たちの名前を知り、さらに右翼政権の顔を現したことに怒りを覚えるものの、今の私には、彼らに一矢も報いることができない。

 術後の痛みを緩和するため、背中からもしばらくは麻酔を注入していた。大量の麻酔を注入しているので、多くの人は3日目くらいから幻覚を見ることがあると担当医から事前説明を受けていた。人によっては、幻覚との闘いで暴力的になることがあるという。

 術後3日目の午後、軽く目をつむっていると、突然、オレンジ色の世界が広がった。

 個室の壁は白だから、何故オレンジ色の世界が広がったのかが分からず、目を開けて確認しても白い世界しか見えない。

 再び目を閉じると、オレンジ色の世界となり、オレンジ色の背景から、山の稜線が現れた。

 稜線の麓に原野が広がっている。どこかで見たような風景だと感じながら、映画のシーンのようにして見ていた。

 ああ、これは白頭山ではないか。

 この広がる原野の中に、抗日パルチザンたちの革命根拠地があるはずだと考えていた。

 しばらくすると、画像の手前から、旧日本軍兵たちの姿がクローズアップされてきた。

 彼らは右から左方向へと移動していく。日本軍は何かに追っかけられて、逃げているようだ。

 日本軍の後ろ姿が消えると、やはり右方向からパルチザン戦士たちの一団が現れ、同じく左へと移動していく。

 パルチザン戦士たちは横向きではあったが、顔は誰ひとりとして分からない。

 そこに私もいたはずだ。

 映像はここまでで、翌午前まで同じ場面を何度も繰り返し見た。戦闘場面はなかった。


 この映像は、医師の言う幻覚ではないと思う。

 現在の、私の心情を映像として私自身が見ていたのだろう。

 そう、私は今も闘っている。

 帝国主義者、植民地主義者に対して。

                                                             2014年9月12日 記
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Author:takasi1936
愛媛現代朝鮮問題研究所のブログです。

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