「歴史修正主義者の安倍晋三を批判する」
「歴史修正主義者の安倍晋三を批判する」
名田隆司
杞憂していた安倍晋三首相の素顔が、日を追うにつれてはっきりとしてきた。
彼の口から飛び出してくる言葉は、決して「積極的平和」を築くものではなく、その逆で、国民を不安に陥れ、周辺国からも不信感を募らせるナショナリスト、歴史修正主義者の本質を現してきたからである。
防衛装備品の輸出を禁じている「武器輸出3原則」を見直し、一定の要件を満たせば紛争当事国へも武器輸出を可能とする「新武器輸出3原則」を設定しようとしている。
同時に、集団的自衛権行使の容認に道を開く「周辺事態法」改正にも、前のめりになっている。
しかも、集団的自衛権の行使容認への改正を急いでいる先には、朝鮮半島有事への対応を念頭にしており、そこでの自衛隊と米軍との共同行動、つまり、「戦闘地域」での共同作戦・行動を可能とすることを狙っている。
昨年10月、日米2プラス2協議の際にも合意していたものを法制化しようとしているのである。
オバマ米政権に「色目」を使う対米従属政策を装いつつ、右側色の安倍カラーを出そうとしている。
日米ともに、核・ミサイル問題が極度に不安定化している朝鮮半島有事を想定し、対応しているのだと説明しているが、逆に、日米のそのような思考と政策こそが、アジア地域を戦争の危機へと招いているのである。
軍慰安婦問題をめぐっても、旧日本軍の関与と強制性を認めた「河野談話」(1993年)を見直す(談話内容の否定)方向で進めているようだ。
河野洋平官房長官(当時)談話は、膨大な資料検討のほか、多くの元慰安婦たちの証言を根拠としている。
その発表が、政権末期(宮沢政権)であったことから、関係国と関係者への謝罪と補償、解決などを事後の政権に委ねることになった。
ところが、その後のどの政権(村山政権は、民間補償であって政治責任を逃れているところもある)も無視し続け、政権周辺の外野から、「軍は関係なかった」的発言を続けてきた。
安倍政権にいたっては、元慰安婦たちの聞き取り調査報告書の信憑性について「検討する」と言い出した。
それだけで、元慰安婦たちが羞恥心に耐えて証言したことを、否定する言葉で、それだで、被害者たちを再び傷つけている行為だと言える。
韓国外務省は、そのような分別のない行動を慎むよう要請している。
そのことは、歴史認識にも関わる問題であって看過できない。
安倍応援団たちの中で、NHK会長の籾井勝人氏と同委員会の百田尚樹氏がいて、彼らの軍慰安婦関連発言も許せない。
彼らは、「個人的発言」だとして言い逃れをしようとしているが、NHKは公共放送で、その経営委員トップで、記者会見や選挙応援演説での発言が、どうして個人的発言であるのか。
しかもこの両人、安倍首相の「お友達人事」で選ばれていたのだから、安倍氏の代弁のようにも聞こえてくる。
お友達人事と言えば、各首相補佐官と内閣官房参与人事も、安倍氏好みの人選になっている。
衛藤晟一(えとうせいいち)首相補佐官の場合、安倍首相の靖国神社参拝に対する米政権の「失望」声明を批判し、逆に米政権に「失望」して、米国は中国にものが言えなくなっているとした、動画サイトでの内容。
もう一人、本田悦郎内閣官房参与の場合は、米紙ウォールストリートジャーナルの19日付けの電子版に「アベノミクスで日本が力強い経済を必要としているのは、より強力な軍隊を持って、中国に対峙できるようにするためだ」と語った。
どちらも安倍氏の代弁人だ。
安倍氏周辺の問題発言に、もう一人加えねばならないだろう。
長谷川三千子NHK経営委員だ。
彼女は、委員になる以前、右翼礼賛と神話世界を肯定する文章を発表していた。
彼らは、自分たちの発言が問題化して以降も、「首相と違うことを言っているわけではない」(衛藤氏)として、逆に批判をしている世論に不満を表明する有様だ。
安倍首相が世界から「ナショナリスト」「歴史修正主義者」だと批判されているように、彼ら「お友達」もまた揃ってナショナリストだ。
彼らの時代に逆行する発言は、昨年8月に首相が靖国神社を参拝して以降、急増している。
安倍首相の靖国神社参拝に、米国、中国、南北朝鮮などからの批判があっても、国会内での自民党「1強」と自民党内の「首相1強」現象から、傲慢になり過ぎている。
事あるごとに、憲法9条を否定する改憲論を口にして、戦争ができる環境整備を平気で行っている。
現在、安倍政権が推進しているナショナリスト的な姿が、外国ではどのように映っているのかを、北朝鮮の朝鮮中央通信社の論評要旨から紹介しておこう。
「(日本は)2014年の国防予算にいわゆる『北朝鮮のミサイル攻撃』に対処するという美名の下、最新鋭迎撃ミサイルの購入と開発、能力向上に260億円を割り当てた。F35Aステルス戦闘機、PI海上哨戒機、哨戒ヘリも追加で購入しようとしている。日本の『ミサイル攻撃』説は、国際社会に対して自分らの軍備増強策動と再侵略野望を覆い隠そうとする極めて陰険で卑劣な行為である。日本は敗北後、こんにちまで一日も再侵略野望を捨てたことがなく、その実行のために軍事費を系統的に増やしてきた。・・・・・
(1月11日)
「・・・・新たな『防衛計画の大網』と『中期防衛整備計画』、初の『国家安全保障戦略』の樹立など軍国化と再侵略のための政策的・法律的敷居を一つ一つなくして新しい犯罪の道へ疾走しているのが、今の日本社会の姿である。・・・・・・世界には、過去にアジアを血で染めた戦争国家日本は必要ない。日本の反動層は、海外侵略の道に踏み出して敗北した自国の歴史を絶対に忘れてはならない。日本で生じている諸般の事態は、安倍が靖国神社に参拝して『戦争を起こさないと誓った』のではなく、戦犯の前で憲法を改正してでも『戦争を行うと誓った』ことを実証している。・・・・」(1月24日)
首相周辺の外野席からの発言が、「問題化」しているのは、「首相1強」状態の弱点が露呈してきたのと、歴史とは逆行している言動の矛盾点が現れてきたからだろう。
私たちもまた、歴史修正主義者たちを国会に送り込み、政権の座に置いてしまったことの責任を感じ、安倍ナショナリスト政策を葬っていかなければならない。
2014年2月22日 記
名田隆司
杞憂していた安倍晋三首相の素顔が、日を追うにつれてはっきりとしてきた。
彼の口から飛び出してくる言葉は、決して「積極的平和」を築くものではなく、その逆で、国民を不安に陥れ、周辺国からも不信感を募らせるナショナリスト、歴史修正主義者の本質を現してきたからである。
防衛装備品の輸出を禁じている「武器輸出3原則」を見直し、一定の要件を満たせば紛争当事国へも武器輸出を可能とする「新武器輸出3原則」を設定しようとしている。
同時に、集団的自衛権行使の容認に道を開く「周辺事態法」改正にも、前のめりになっている。
しかも、集団的自衛権の行使容認への改正を急いでいる先には、朝鮮半島有事への対応を念頭にしており、そこでの自衛隊と米軍との共同行動、つまり、「戦闘地域」での共同作戦・行動を可能とすることを狙っている。
昨年10月、日米2プラス2協議の際にも合意していたものを法制化しようとしているのである。
オバマ米政権に「色目」を使う対米従属政策を装いつつ、右側色の安倍カラーを出そうとしている。
日米ともに、核・ミサイル問題が極度に不安定化している朝鮮半島有事を想定し、対応しているのだと説明しているが、逆に、日米のそのような思考と政策こそが、アジア地域を戦争の危機へと招いているのである。
軍慰安婦問題をめぐっても、旧日本軍の関与と強制性を認めた「河野談話」(1993年)を見直す(談話内容の否定)方向で進めているようだ。
河野洋平官房長官(当時)談話は、膨大な資料検討のほか、多くの元慰安婦たちの証言を根拠としている。
その発表が、政権末期(宮沢政権)であったことから、関係国と関係者への謝罪と補償、解決などを事後の政権に委ねることになった。
ところが、その後のどの政権(村山政権は、民間補償であって政治責任を逃れているところもある)も無視し続け、政権周辺の外野から、「軍は関係なかった」的発言を続けてきた。
安倍政権にいたっては、元慰安婦たちの聞き取り調査報告書の信憑性について「検討する」と言い出した。
それだけで、元慰安婦たちが羞恥心に耐えて証言したことを、否定する言葉で、それだで、被害者たちを再び傷つけている行為だと言える。
韓国外務省は、そのような分別のない行動を慎むよう要請している。
そのことは、歴史認識にも関わる問題であって看過できない。
安倍応援団たちの中で、NHK会長の籾井勝人氏と同委員会の百田尚樹氏がいて、彼らの軍慰安婦関連発言も許せない。
彼らは、「個人的発言」だとして言い逃れをしようとしているが、NHKは公共放送で、その経営委員トップで、記者会見や選挙応援演説での発言が、どうして個人的発言であるのか。
しかもこの両人、安倍首相の「お友達人事」で選ばれていたのだから、安倍氏の代弁のようにも聞こえてくる。
お友達人事と言えば、各首相補佐官と内閣官房参与人事も、安倍氏好みの人選になっている。
衛藤晟一(えとうせいいち)首相補佐官の場合、安倍首相の靖国神社参拝に対する米政権の「失望」声明を批判し、逆に米政権に「失望」して、米国は中国にものが言えなくなっているとした、動画サイトでの内容。
もう一人、本田悦郎内閣官房参与の場合は、米紙ウォールストリートジャーナルの19日付けの電子版に「アベノミクスで日本が力強い経済を必要としているのは、より強力な軍隊を持って、中国に対峙できるようにするためだ」と語った。
どちらも安倍氏の代弁人だ。
安倍氏周辺の問題発言に、もう一人加えねばならないだろう。
長谷川三千子NHK経営委員だ。
彼女は、委員になる以前、右翼礼賛と神話世界を肯定する文章を発表していた。
彼らは、自分たちの発言が問題化して以降も、「首相と違うことを言っているわけではない」(衛藤氏)として、逆に批判をしている世論に不満を表明する有様だ。
安倍首相が世界から「ナショナリスト」「歴史修正主義者」だと批判されているように、彼ら「お友達」もまた揃ってナショナリストだ。
彼らの時代に逆行する発言は、昨年8月に首相が靖国神社を参拝して以降、急増している。
安倍首相の靖国神社参拝に、米国、中国、南北朝鮮などからの批判があっても、国会内での自民党「1強」と自民党内の「首相1強」現象から、傲慢になり過ぎている。
事あるごとに、憲法9条を否定する改憲論を口にして、戦争ができる環境整備を平気で行っている。
現在、安倍政権が推進しているナショナリスト的な姿が、外国ではどのように映っているのかを、北朝鮮の朝鮮中央通信社の論評要旨から紹介しておこう。
「(日本は)2014年の国防予算にいわゆる『北朝鮮のミサイル攻撃』に対処するという美名の下、最新鋭迎撃ミサイルの購入と開発、能力向上に260億円を割り当てた。F35Aステルス戦闘機、PI海上哨戒機、哨戒ヘリも追加で購入しようとしている。日本の『ミサイル攻撃』説は、国際社会に対して自分らの軍備増強策動と再侵略野望を覆い隠そうとする極めて陰険で卑劣な行為である。日本は敗北後、こんにちまで一日も再侵略野望を捨てたことがなく、その実行のために軍事費を系統的に増やしてきた。・・・・・
(1月11日)
「・・・・新たな『防衛計画の大網』と『中期防衛整備計画』、初の『国家安全保障戦略』の樹立など軍国化と再侵略のための政策的・法律的敷居を一つ一つなくして新しい犯罪の道へ疾走しているのが、今の日本社会の姿である。・・・・・・世界には、過去にアジアを血で染めた戦争国家日本は必要ない。日本の反動層は、海外侵略の道に踏み出して敗北した自国の歴史を絶対に忘れてはならない。日本で生じている諸般の事態は、安倍が靖国神社に参拝して『戦争を起こさないと誓った』のではなく、戦犯の前で憲法を改正してでも『戦争を行うと誓った』ことを実証している。・・・・」(1月24日)
首相周辺の外野席からの発言が、「問題化」しているのは、「首相1強」状態の弱点が露呈してきたのと、歴史とは逆行している言動の矛盾点が現れてきたからだろう。
私たちもまた、歴史修正主義者たちを国会に送り込み、政権の座に置いてしまったことの責任を感じ、安倍ナショナリスト政策を葬っていかなければならない。
2014年2月22日 記
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